公益通報者保護法の改正法案 4

通報者がより保護されやすくする目的での改正

(1)保護される通報者の範囲の拡大

 改正法では、公益通報者として保護される者の範囲として、労働者のみならず、

 ・ 退職者(退職後1年以内に限ります)

も含むこととなりました(改正法2条1項1号)。

 また、改正法では、

 ・ 役員

についても、保護される通報者に追加されました(改正法2条1項)。

 ただし、役員が公益通報を理由に解任された場合に、事業者への損害賠償請求するためには、通報に先立って、調査是正措置(通報対象事実の調査及び是正のために必要な措置)を取るよう努めたことが要件とされています。

(2)保護される通報の範囲の拡大

 現行法の下では、通報対象となる事実の範囲は、別表に掲げられた法律に規定する犯罪行為の事実に限定されていたところ、

 ・ 行政罰(過料)の対象となる事実

も追加されました(改正法2条3項)。

(3)損害賠償責任の制限

 改正法においては、

 事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由として、公益通報者に対して損害賠償請求を行うことができない

こととされています(改正法7条)。

 現行法においても、禁止対象となる「不利益な取扱い」には損害賠償請求は含まれるものと解されていました。

 改正法では、この点を明確にし、損害賠償責任を行うことができないことを明記したものです。

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